FOREST BATH

「森の光や空気の中に居場所をつくる住宅。 高い木々の下にある住まい。」
この計画は、斜め方向へ視線がぬけていく開口を獲得した、森の中の別荘です。 クライアント御夫妻の要望は、「何もしないで過ごせる空間がほしい」ということでした。 何か特別なことをするというよりも、思い思いに森のなかに身をさらし、木や木洩れ日をぼんやり眺めて過ごすような夏の別荘がほしい、とのことでした。

web gallery (photo:tomohiro sakashita)

敷地周辺は別荘どうしの間隔が近いため、直接的な視線のやり取りを避けながらも、自然をできるだけ取り入れることを意図しました。 敷地には、10m 以上に育った大きな唐松が何本も立っていました。唐松の枝は低いところにはなく、6mぐらいから枝がはじまります。

その高さは、水平方向を見る開口ではつかまえることができないため、斜め方向でとらえることを考えました。 三角形に穿たれた主室と中庭には、高い位置から木の陰が映りこみ、それが時間とともに刻々と変化します。 自然の表情は、白いキャンバスの上に木陰・光といった形で変換され表現されます。

また木々との距離感は場所のとりかたで調節され、奥行とともにフィルターのかかったような空間体験となります。 季節や日差し、時刻などによる環境のさまざまな表情によって、居場所が見出されることでしょう。 一方で、両翼の寝室と浴室は中央の部屋と対比的にうす暗く、まわりこんでくる光の強さによってほのめきます。低い軒によって、視線は森の下草へと向かう空間となっています。

意匠設計:生田京子 下村将之
構造設計:飯島建築事務所
実施設計・現場監理:生田京子・ 尾関建築設計事務所 尾関勝之
施工  :第一建設株式会社
建築面積:84.3㎡  延床面積:71.37㎡ 敷地面積:590.94㎡
写真:坂下智広